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『風立ちぬ』を見て宮崎駿の風について考えた

昨夜放送されていた宮崎駿の『風立ちぬ』について、ネットにいろいろな感想が上がっていたので見ていたら、こんなのがありました。

 


 

とても面白い視点だな、と思います。

 

映画の公式ツイッターまでが、「タイトル通り、「風が立つ」とき、物語は動きます」などと明言していたとは、ぜんぜん知りませんでした。

 

でも、よくよく考えてみると、宮崎駿の作品と「風」とは、この映画だけじゃなく、ほとんどすべての作品で、非常に深いつながりがあるような気がしてきます。

 

風の谷のナウシカ』なんて、タイトルに「風」って、思いっきり入ってますよね。ナウシカは、メーヴェという凧に乗って空を飛ぶし、作中でも「風使い」とか言われてますし。

 

天空の城ラピュタ』も、なにしろ「天空の城」ですよ。パズーたち一行は、飛行船で「天空の」城ラピュタにたどり着きます。当然、そこでも「風」は重要な役割を果たしていました。そういえばラピュタを守る「竜の巣」も、「風が逆向きに吹いている」巨大な積乱雲でしたよね。

 

となりのトトロ』にも、有名な飛ぶシーンがあります。さつきとメイが、トトロのおなかに掴まって、空を飛ぶシーン。そこでさつきが言うセリフは、「わたしたち、風になってる!」です。

 

紅の豚』はいうにおよばず、『魔女の宅急便』も、『千と千尋の神隠し』も、『ハウル』も『カリオストロの城』も、ほとんど常に、画面には風が吹いていて、登場人物たちは風に吹かれています。ハタハタと、スカートや髪の毛をたなびかせながら・・・。

 

『ポニョ』は?

 

『ポニョ』だって、大嵐が起きて、ものすごい暴風が吹いていました。その嵐の中で、ポニョが波の上を駆けてくるシーンは、宮崎アニメでも屈指の名シーンだと思います。

 

ここまで風が吹きまくっていると、宮崎駿のアニメにとって、「風」ってなんなんだろう?と考え込んでしまいます。

 

そこでハタと気がつきました。

 

アニメーションの本質って、いかに(本来は静止しているはずの)絵を動かすか、という技術のことですよね。

 

だからディズニーのアニメーションなんかは、キャラクターたちが歌ったり踊ったりすることで、動きを表現しているのだと思うんです。

 

それに対して、宮崎駿のアニメでは、風の表現によって、絵を動かしているのではないでしょうか。

 

そう気がついて、宮崎駿のアニメと、そのほかのアニメを見比べてみると、明らかに風の表現に差があることに驚きます。

 

宮崎アニメを見ていて感じるリアリティや、作品の深みみたいなものの多くが、じつは風の丁寧な表現に負っているのではないか?

 

そんな気さえしてしまいます。

 

そう考えてくると、彼が最後の作品に『風立ちぬ』という名を与えたことも、ある意味必然だったのかもしれない、とまで思えてきました。

 

今まで宮崎駿のアニメを、おそらく相当の回数見てきたと思いますが、「風」の存在をそこまで気にかけてはいませんでした。

 

ホントにうっかりです。